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【特別決議】 

報道への「暴力」は民主主義の否定だ

2018年1月24日
日本新聞労働組合連合
第131回春闘臨時大会

 議員や首長による、報道機関や記者個人への攻撃が相次いでいます。報道への批判は甘受しますが、公権力を持つ人が「死ね」「殺すぞ」といった発言をすることは言論の自由ではなく、その対極にある言論封殺です。私たちはこうした攻撃を許さないと同時に決してひるまず、ジャーナリズムを全うすることを宣言します。

 ここ数カ月内に報道されただけでも、こうした事例は枚挙に暇がありません。足立康史衆院議員は自身のツイッターに「朝日新聞、死ね」と投稿し、さらに国会で同紙の「加計学園報道」を捏造と発言しました。
兵庫・西宮市の今村岳司市長は読売新聞記者に「殺すぞ」「(上司に)落とし前をつけさせる」と恫喝しました。
岩手・岩泉町長(当時)は、地元紙の女性記者が宿泊する部屋に押しかけて無理やり抱きつくという物理的な暴力に及びました。

 一昨年には、富山市議会の最大会派の会長が取材中の北日本新聞記者を押して倒し、メモを力ずくで奪うなどして取材活動を妨害する事態も起きています。

 公権力を持つ人による物理的な暴力はもちろん、恫喝や脅迫に類する発言は、「暴力」にほかなりません。

 国のリーダーによる、報道への根拠なき批判も目立っています。安倍晋三首相は昨年10月の党首討論会で、国会の閉会中審査での前愛媛県知事の発言を朝日新聞が報じているのに「証言された次の日に(報道を)全くしておられない」などと事実に反する批判を展開しました。世界のリーダーであるはずのトランプ米大統領も、自らに不都合な報道を明確な根拠を示さずに「フェイクニュース」と繰り返し攻撃しています。

 公職者ではありませんが、元NHK経営委員の作家・百田尚樹氏は沖縄での講演で、取材に来た沖縄タイムス記者を名指しして「中国が琉球を乗っ取ったら、(中略)娘さんは中国人の慰み者になります」と発言しました。言論を生業にする方がどうしてこのような言葉遣いができるのか、不思議でなりません。

 日本が戦後73年間、戦争をしていないことは誇るべきことです。戦前の軍国主義、全体主義の反省に立ち、民主主義を守ってきました。私たちが目指すべきは、それを進化させた「成熟した市民社会」ではないでしょうか。多様性を認め合い、自由に意見を表明、議論し、公権力を監視し制御できる社会です。不都合な歴史を否定するのではなく、そこから学び、未来に生かす社会です。それには自由な報道、健全なジャーナリズムが不可欠だと、私たちは信じます。その一翼を担う者として、こうした攻撃に萎縮することなく、読者とともに歩んでいきます。

以上