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「産経新聞奨学生パワハラ事件」救済申請に際して新聞奨学生制度に対する提言と要求

2014年3月24日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長  日比野 敏陽

 新聞労連は今回、「産経新聞奨学生パワハラ事件」の救済申請に当たって、現在の新聞奨学生制度の在り方について新聞業界、産経新聞社に下記の通り改善するよう要求する。

T 新聞奨学生制度の本旨

 新聞奨学生制度の本旨は学生の学業支援であり、主役は学生である。そして制度運用の最終的責任は発行本社にある。
 この制度について1998年、政府は、国会議員から労基法17条の前借金禁止に抵触する疑いを問われ、「労基法は使用者が前貸金と賃金を相殺することを禁じているが、新聞奨学生の使用者である販売店の払う賃金と、使用者ではない新聞社等の貸し付ける奨学金は、相殺されないのだから違反ではない」という内容の答弁書を出している。これに対しては労基法の趣旨を考慮せぬ形式論との批判が起こった。新聞奨学生が契約期間の終了まで働き続けられずに退職した場合の、奨学金の返済の長期分割化や、奨学生を本社が雇用し販売店で勤務させる形態にすべきという意見もある。
 このような指摘があることを踏まえ、より慎重な運用が必要であり、制度の本旨から逸脱しないよう業界として不断に改善の努力をすべきである。新聞協会は、新聞奨学生制度の在り方についてガイドラインを作成し、各新聞社、奨学会に周知徹底させるべきである。


U 発行本社と新聞奨学会に以下の検討、改善を求める。

 @発行本社、奨学会、販売店経営者が連帯して使用者としての責任を負い、疑義、問題が生じた場合は誠実に対応することを確認すること

 A就業規則を整備し、新聞奨学生に配布すること

B労働契約書の作成、契約の更新、販売店経営者が交代する際の引き継ぎについて、ガイドラインを作成すること

 C就労先の選定にあたって下見を含めて事前説明を徹底し、本人の意向を尊重すること

 D集金業務が学業に支障を与えないよう担当軒数、区域について柔軟に対応すること

E販売店経営者に労働法など関係法令の研修を受けさせること

 F奨学会に奨学生が相談できる窓口を設置し、発行本社、販売店経営者と共有すること。秘密厳守など本人の負担・不利益にならないものとすること

 G事情の変化、トラブルなどがあった場合、就労先や労働条件の変更を柔軟に行うこと

 H関係法令を順守すること

 I労働条件、居住環境、業務に必要な備品などを整備・改善すること

Jパワハラ対策を含む労務管理、トラブル対応のガイドラインを作成すること

Kやむを得ず業務や学業が続けられなくなった場合、事情を考慮して返済免除や延期、分割などの配慮をすること

L奨学生、販売店経営者に定期的に面接したりアンケート調査をするなどして、労働や雇用関係の実態把握に努めること

M奨学生の状況について必要に応じて保護者に報告すること

 

V 今回の事件の当事者である産経新聞社に対し、上記に加えさらに以下の改善を要求する。

 @労働契約の契約書作成、更新、引き継ぎについて本社・奨学会が責任を持つこと

 A適用対象の大学等が資料と異なる場合、事前に丁寧に説明し、進学先変更を強いる事態を起こさないこと

 B年2回の賞与について研修会パンフに記載した金額を労働契約書に明記し、支払うこと

 C集金業務で無理なノルマを強いて立て替えなどをさせないこと

 Dシャワー・風呂など居住環境を研修会パンフの説明に沿うよう改善すること

 E健康診断のキャンセル料の徴収をしないこと

 F労働時間をタイムカードで管理し、残業代を適正に支払うこと

 G「配達業務」「配達以外の一般業務」「集金業務」の内容を明確にし、労働時間を明確にすること

 H本社が奨学会の運営を管理・監督すること

 I新聞労連と定期的に問題解決に向けた懇談の場を持つこと

 

以上