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表現の自由を侵害する福岡高裁那覇支部判決に抗議する
2013年6月28日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 日比野敏陽

 沖縄県東村高江地区での米軍北部訓練場にヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の建設工事をめぐる住民の抗議活動に対し国が通行妨害禁止を求めた訴訟で、福岡高裁那覇支部は6月25日、1審那覇地裁判決を支持し、住民1人について、その抗議活動が「違法な所有権侵害にあたる」と判断、住民側の控訴を棄却した。住民の活動は、非暴力的に県道に座り込むなどして抗議・説得を行うという正当な表現行為である。今回の判決は、表現の自由を侵害するだけでなく、全国の住民運動、市民運動に対する挑戦である。新聞労連は、表現や言論に対するあらゆる規制・介入を許さないという立場から、住民による正当な表現活動を弾圧するこの判決を強く批判する。
 
 この裁判の特徴の1つは、住民の反対運動、抗議活動を妨害、萎縮させるために起こすスラップ(SLAPP、Strategic Lawsuit Against Public Participation)訴訟であること、そして、起こしたのが国家(沖縄防衛局)であるということだ。弱い立場にある個人を相手に大企業などが民事訴訟を起こすスラップ訴訟は、フリーランスのジャーナリストを狙い撃ちにする事例が続いており、高江訴訟以後、住民運動に対して国や行政が起こす事例も出てきている。こうした威嚇的な訴訟は言論・表現や報道の自由を封殺するものとして米国では一部の州で禁止されている。しかし、今泉秀和裁判長は、「活動の萎縮を目的として提起されたと認めることはできない」として、不適法ではないとした。

 判決は、「スラップ訴訟ではないのか」という住民側の主張も退け、住民の反対運動の背景にあるオスプレイ配備や基地問題にも触れようとせず、県道での行為が国の所有権を侵害していると見なした根拠も不十分だった。何より、高江の住民の行動だけがなぜ、どのような理由で「違法な所有権の侵害」になるのかが不明確だ。このような判決を許せば、今後、国や行政機関にとって都合の悪い意思表示や表現活動、異議申し立ては、裁判によっていつでも規制されてしまうことになりかねない。私たちはこの点を強く懸念し、福岡高裁那覇支部判決を糾弾する。
以上