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ブルームバーグPIP解雇事件・東京地裁判決についての声明
2012年10月5日
日本新聞労働組合連合
新聞通信合同ユニオン
原告弁護団
 (1)東京地方裁判所民事第36部(光岡弘志裁判官)は、2012年10月5日、ブルームバーグPIP解雇事件の裁判において、原告の請求を全面的に認容する判決を出した。本件は、2005年11月に通信社ブルームバーグに記者として中途採用された原告が、2009年12月から2010年3月にかけて会社からPIP(パフォーマンス・インプルーブメント・プラン:業績改善プラン)を実施された後、記者としての能力に欠けるとして解雇されたことから、会社を相手どり、解雇は無効であるとして従業員としての地位の確認を求めたものである。
 (2)判決は、まず、「勤務能力ないし適格性の低下を理由とする解雇に『客観的に合理的な理由』(労働契約法16条)があるか否かについては、…当該職務能力の低下が、」@「当該労働契約の継続を期待することができない程に重大なものであるか否か」、A「使用者側が当該労働者に改善矯正を促し、努力反省の機会を与えたのに改善がされなかったか否か」、B「今後の指導による改善可能性の見込みの有無」等の事情を「総合考慮して決すべきである」との一般的な基準を立てた。
 (3)その上で、被告が解雇理由として挙げた、原告にコミュニケーション能力がない、記事の質が悪い、記事の本数が少ない等について、いずれも根拠に乏しいことを理由として「客観的合理性があるとはいえない」として、原告は今もブルームバーグの従業員としての地位があることを認めた。
 (4)ところで、原告が中途採用であるという点について、被告が、ブルームバーグのビジネスモデルは通常の新聞社と違い、記者として求められる能力等に大きな違いがあると主張していた。これについて、判決は、「社会通念上一般的に中途採用の記者職種限定の従業員に求められていると想定される職務能力との対比において…これを量的に超え又はこれと質的に異なる職務能力が求められているとまでは認められない」と一蹴した。
 違法・無効な解雇を行った会社は、控訴をせずに本判決を受け入れ、原告に謝罪した上でただちに復職に向けた協議を組合と行うべきである。
 (5)昨今、外資系企業を中心に、本件で問題となったPIPを利用した退職強要・解雇が流行している。共通するのは、会社が、「業績改善」の名のもとに対象労働者に無理な課題を設定し、達成出来ない場合には解雇することを示唆し、PIPの過程において、対象労働者に対して能力の否定や人格の攻撃を行うという点である。
 PIPの過程で、多くの労働者は自尊心を傷つけられ、自ら退職を選択していく。退職を選択しなかった者は、原告のように「能力不足」の烙印を押されて解雇される。
 このような手法は、労働契約法に明記された解雇規制をくぐり抜けるために考案されたものであって、法的にも道義的にも到底許されるものではない。
 本判決は、従来の判例法理の枠組みによって判断されたものであり、その意味では解雇無効の判断は当然の帰結であるが、PIPという新たな手法を経ての解雇を断罪したおそらく初めての判決という点でその意義は大きい。
 私たちは、引き続き、このような手法による退職強要や不当解雇が一掃されるまで全力で闘うことをここに決意する。
以上