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新聞の特殊指定改廃見合わせに対する声明

2006年6月2日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 美浦克教

 6月2日の自民党独占禁止法調査会で公正取引委員会は、新聞の特殊指定改廃について、今回は結論を見合わせることを表明した。昨年11月に公取委が特殊指定見直しを表明して以来、議論が続いてきたが新聞については当面は残ることになる。この結論自体は、わたしたちが求めてきたことと一致する。しかし、この結論に至る議論の経緯には、問題が多いと考える。
 新聞労連は特殊指定改廃にこれまで一貫して反対してきた。「新聞の同一題号同一価格」を定めたこの制度が廃止されれば、購読料値下げによる乱売合戦が予想されるからだ。現在でも規制を超えた景品提供や契約期間に応じた無料購読(無代紙)が後を絶たず、これに値引合戦が加われば販売現場は混迷を極める。資本力の弱い新聞社は次々と倒れ、多様な言論を形成してきた新聞が少数の新聞に淘汰され、民主主義が危機にさらされるだろう。
 私たちはこれまでの論議から、特殊指定維持を求めるには販売正常化が実現しなければ理解が得られないと訴えてきた。新聞労連が調査したところ、新聞に対する意見は「紙面内容」よりも「新聞販売への苦情」が圧倒的に多かった。
 新聞労連はこれまで新聞協会に販売正常化の早期実現を求め、公取委には特殊指定の堅持を訴えてきた。今回、公取委が出した結論は私たちの主張に沿ったものだが、問題点も多い。これまで公取委は新聞協会との話し合いで「実態の説明」を求めてきたが、協会側は明確な回答を避けてきた。現状を説明し、矛盾点の是正へどのように取り組むかが焦点だった。
 一方、公取委の方針には与野党を問わず全政党が反対し、自民、公明の両党は独占禁止法に特殊指定の内容を盛り込んだ改正案をまとめ、国会提出に向けた手続きを進めてきた。公取委が見合わせると判断した背景にはこうした政界の動きがあるといわれている。業界側と「かみ合わない」として議論を打ち切った公取委。独禁法の改正で公取委の権限を封じ込めようとした政界。本質的な議論を置き去りに、何より読者・市民の意見を顧みないままの政治決着といえる。
 さらに公取委が「見送り」を最初に伝えたのは自民党で、新聞業界の窓口となっている新聞協会ではなかった。このことは問題の本質からすでに新聞業界が、一歩外に押し出されていることを表している。公取委が議論すべき相手はいつの間にか政界にすり替わっていた。
 今回の議論では販売正常化に関する問題で前進したことはほとんどなかった。公取委が説明を求めても、新聞業界が明確に答えなかったからだ。公取委の結論はあくまでも通過点ととらえなければならない。そして私たちがめざすのは販売正常化の実現である。「言論・表現の自由」「知る権利」を守る責務を果たすことで新聞の公共性を高め、新聞ジャーナリズムの信頼を構築することが急務である。新聞労連の取り組みはこれからが正念場だ。