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法務大臣 杉浦正健殿
2006年3月14日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 美浦克教
「共謀罪」新設等の関連法案の廃案を求める要請書
 いわゆる「共謀罪」の新設を目的とする組織的犯罪処罰法改正を柱とする「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」が、昨年秋の第163回特別国会に上程され、現在開会中の第164回通常国会で審議されます。わたしたちは、人間の内心を取り締まり「思想・信条の自由」を、さらには「言論・表現の自由」「知る権利」をも危うくするものとして、共謀罪の新設に断固反対することを表明するとともに、関連法案を即座に取り下げ廃案とするよう貴職に強く申し入れます。

 そもそも「共謀罪」は、過去2回上程されながら、厳しい批判を浴びて実質的審議にすらなかなか進めなかった、いわくつきの代物です。第163回特別国会での審議でも、与党内からも批判や疑問が噴出したことは記憶に新しいところです。
 「共謀罪」の最大の問題点は、未遂を含めた実行行為を処罰対象とする現行の刑法体系の原則を根本的に変え、実行行為以前の精神の営みまでを取り締まりと処罰の対象にしてしまう点にあります。日本の法体系、さらには民主主義の根幹にかかわる問題であるにもかかわらず、広範な国民的な議論を欠いたまま、「反対」の世論に耳を貸さずに、衆議院で与党が圧倒多数の議席数を占めている状況をたのんで一気に可決を図ろうとするならば、それ自体、民主主義を破壊する暴挙に等しいと言わざるを得ません。
 また、「共謀罪」新設は、2000年に国連総会で採択された「国際組織犯罪防止条約」の批准に必要な国内法の整備のためだと説明されていますが、法案では「共謀罪」が適用される団体の範囲も、対象になる犯罪の範囲も何ひとつ明確にされていません。恣意的な運用の歯止めは何らなく、市民運動や労働運動など「集会・結社の自由」に基づく自由で正当な表現活動、言論活動が弾圧にさらされ、国民の基本的な権利の数々が有名無実化する危ぐはぬぐえません。
 運用の実際面を見ても、共謀があったことを捜査当局が立証する方法は極めて限られ、内部からの密告か、外部からの尾行、盗聴、隠し撮り、電子メールや郵便物の無断チェックなどしかありません。「共謀罪」の新設が引き金になり、これらの行為が広く合法化されるでしょう。そうなれば、憲法が保障する検閲の禁止、通信の秘密は無きに等しいものとなることも危ぐされます。

 数々の重大な問題点を抱えた「共謀罪」新設に対しては、日弁連をはじめとして広範な「反対」の世論があります。そのことを直視し、即座に関連法案を廃案とするよう、強く申し入れます。

以上