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憲法を中心に据えた争点報道を求める
〜衆院選終盤に際してのMIC声明〜
 郵政民営化法案の参院での否決に端を発した衆院選は、報道によれば序盤は自民党が優勢、単独過半数を確保の勢いと伝えられている。わたしたちは、11日の投開票までの残りの期間に、メディアが今回の選挙が持つ意味と争点をより多面的、多角的に取り上げ報道するよう求める。
 小泉純一郎首相は「今回の選挙は郵政民営化の是非を国民に問うもの」と、争点を郵政民営化に絞り込み「改革断行」の姿勢を強調する。民主党など野党の主張も、郵政民営化への反論を中心に報道される状況が続いている。しかし、争点は郵政民営化だけであるはずがない。
 わたしたちは、数々の争点の中でまず第一に憲法問題こそ中心に据えられなければならないと考える。自民党は政権公約の中で「日本の基本を変える」とし「新憲法制定への取り組みを本格化」「子どもたちの未来のために教育基本法を改正」と明記している。自民党が指向する新憲法とは、8月1日に公表された新憲法草案一次案を見れば明らかなように、「自衛軍」の保持と海外での武力行使を可能にする、つまり日本が再び戦争をできるようにする憲法だ。まさに平和主義を捨て「日本の基本を変える」ことにほかならない。しかも自民党は結党50年のことし、11月にも新憲法案の最終案を公表する。「日本の基本」をこうした方向に変えていくことの是非こそ、今回の選挙の最大の争点であるはずだ。
 郵政民営化にしても、わたしたちはなぜ民営化がただちに日本を「改革」することになるのか、疑問を抱いている。郵政改革とは郵政を「官」の保護から引き剥がし、市場の競争原理に放り込むことにほかならない。しかし、公共性の高い事業を、全面的に競争原理に委ねてしまえばどうなるか。その答えの一つをわたしたちはことし4月、尼崎市のJR脱線転覆事故で見せつけられたはずだ。郵政民営化は今回の選挙では、「強い者はより強く、弱い者はより弱く」の新自由主義路線をこのままさらに推し進めるのか、それとも、だれもが安心して暮らせる社会を目指す方向へ転換するのか、その象徴としての「最大の争点」であるはずだ。
 わたしたちは、戦後60年に施行される今回の選挙で問われるべきは、平和と民主主義、そして「個人はみな個人として尊重される」との憲法の精神を基盤においた日本社会を変えてしまうことの是非であると考える。投開票までの残る期間に、各メディアがこうした観点から争点を掘り下げ、厚みのある報道に努められるよう強く求める。

2005年9月6日
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC) 議長美浦克教