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「しんぶん販売考」第8話
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「しんぶん販売考」第1話
新聞労連街頭調査結果
【特殊指定改廃問題に対する新聞労連の取り組み】
第115回中央委員会(2006/04/20-21)
販売正常化を求める闘い(2004年度運動方針案から)
再販制度・特殊指定を守る闘い(2000年度定期大会議案書から)
再販制度の維持を求める闘い


「しんぶん販売考」第8話
 浴衣姿が目に付く大阪市内で7月7日、在阪の弁護士や司法書士、消費生活相談員などで構成する「消費者行政市民ネット」が、新聞契約トラブル110番を行った。午前10時から午後4時までの間に36件の相談が寄せられた。同ネットのメンバーに会いに行った。

▼高齢者を狙った非常識な契約
 主な相談は紹介すると――▽3年間のうち1年間無料にするからと勧誘を受け、断ったがビール券を渡され名前だけ書くよう言われて、仕方なくサインした。その後2回ほど電話で解約を申し入れたが「契約したのだからやめられない」と言われた。(85歳女性)▽同居の母(79歳)が来月から10年間の新聞購読契約をしていることがわかった。母は「名前を書いて」と言われて契約書にサインさせられたが、内容がわかっていなかった(57歳男性)▽高齢の母(80歳)が、父(91歳)の名義で5年前に契約。3年契約の契約書が7枚で合計21年間の契約。父は当時から認知症気味だった。解約を申し入れたが「日常家事債務なので有効に契約成立している。亡くなったら子供が引き継いで新聞購読料を支払ってくれ」と言われた(60代女性)

▼守られない公正競争規約
 同ネット代表で弁護士の国府泰道さんは「この問題を放置すれば、いずれ国民の新聞に対する信頼を失うことになる」と、新聞の役割と販売行為とのギャップを指摘する。各地の消費生活センターでも新聞勧誘のトラブル件数は長年上位にランクしている。大阪府消費生活センターの2005年度消費生活相談でも訪問販売部門で5位以内入っている。
 電話相談を行うため、同ネットでは新聞公正取引協議委員会が発行する「わかりやすい新聞販売の諸規則」を50冊買い込み、会員らで学習した。事務局長の井上智加子さん(司法書士)は「こんな立派な規約があるのに、なぜ守られないのか…」と不満を募らせる。また、電話相談実施の記者発表を事前に行ったのに、お知らせ記事を書いたのは1紙だけ。「なぜ新聞は自分たちの問題を報じないのか」と嘆く。
 同ネットは、販売契約問題での発行本社への連帯責任を求めて新聞協会への申し入れを行う予定だ。あまりにもひどい契約内容については、訴訟を起こすことも検討している。
同ネットが耳にした事例は、氷山の一角に過ぎない。このような非常識な売られ方に怒る消費者団体の声に対し、新聞各社は「販売店や拡張団がやっていること」として目を背け続けている。こんな売り方をして読者が離れていくのは誰の目にも明らかなのだが、これまで長年続けられてきた前例踏襲型の販売政策を変えようと経営陣は本気で思っていない。俗に言う「販売のブラックボックス」をこじ開け、読者の信頼を得られる販売を創造していくきっかけをつくるのは、労働運動しかない。
――おわり。
【前労連副委員長・小関勝也】※新聞労連機関紙2007年8月号より
「しんぶん販売考」第7話
業務提携で全体雇用守る
 新聞各社の販売哲学が変わらなければ正常化は無理だという河内さん。前号では正常販売のための抑止力として、もうひとつの「核」を作って対抗するしかないと語ったが、その「核」とは。引き続き河内さんに話を聞いた。

――もうひとつの「核」というのは本(新聞社−破綻したビジネスモデル)に書かれてある三社提携のことですか
 本には「毎日、産経、中日」と書いたが、北海道から九州まで業務提携連合を立ち上げて、印刷段階以降はなるべく合理化しようという考えだ。新聞労連的に言うと新聞労働者が減ると怒られるかもしれないが、僕はそんなことはないと思う。むしろ経営不安の会社で働くよりそういう業務提携で合理化し、トータルの雇用を守った方が良いと思っている。
――販売店制度や流通改革した後で購読料を下げられる可能性は
 読者が毎月情報収集や情報摂取にいくら使っているのか考えればいいのではないか。総務省の家計支出平均では1世帯あたり2万円を切っている。携帯電話に1万円、NHKに4千円、残りが新聞ということだが、僕の考えでは@生活パターンが変わったのだから土曜日の夕刊を止める。その代わり休刊日をなくすA国際的に見て日本の新聞は高い。そうすると値下げをする余地は全くないのかどうか考えてみる価値はあると思う、という二つの考え方だ。いま新聞を一番読んでくれるのは年金生活者だ。その方々は月に2万円もかけられないわけだから、新聞社も最大限の努力をしなければならない。地域販売センター化して体質改善すれば値下げも不可能ではないのではないか。
――販売職場は販売店との関係維持にだいぶ苦労している
 販売担当は自身の後ろには何十店という店主の顔が見えるし、その人たちの生活を守りたいと思っている。しかし、時代の流れを聞き入れずに今の状態を続けるというのは、親切だけど残酷だと思う。変わるならば若干余裕がある時に変えた方がよい。
――最後に新聞産業に働く後輩に対してメッセージを
 ニュースを取材して原稿を書くのは新聞記者かもしれないが、それを商品に仕上げるまでにはいろいろな人が携わっている。その作られた原版が印刷され、流通過程に乗り、デリバリーされるということは、そう簡単になくなるとは思っていない。
 コンテンツをつくり、精選し流しているのは新聞社だという原点は絶対に忘れてはいけない。この仕事が無くなるはずがない。ただ、これまで130余年あまりやってきた仕事内容が同じように続くかは分からない。そういう意味での構造改革をしないと全体の雇用も守れなくなると感じているのであって、なるべく早く着手した方が良いと思っている。

インタビュー後、河内さんに刊行のきっかけを聞くと「今の業界を何とかしようと憂いている人たちへの『処方箋』を書きたかった」と語ってくれた。河内さんは本の表題を「新聞の復権を求めて」と付けたかったそうだが、出版社に「それでは売れない」とこの題名に変えたとのこと。破綻と復権では印象が大きく異なるが、読者の信頼を損ねている不正常販売を一掃することが復権への再スタートになるだろう。
【労連副委員長・小関勝也】※新聞労連機関紙2007年7月号より
「しんぶん販売考」第6話
地域販売センターで共同配達を
 いま新聞業界で話題になっている本がある。3月に発刊された「新聞社−破綻したビジネスモデル」(新潮新書)。「真の敵は、テレビでもインターネットでもなく、破綻したビジネスモデルにとりすがる新聞界の守旧派」と刺激的なメッセージが飛び込んでくる。これまでの新聞批評本といえばジャーナリズム論がほとんどだったが、同書は「部数至上主義」のゆがみなど新聞産業の問題点を鋭く指摘している。著者の河内孝さん(62)に聞いた。

――新聞の販売のどこを改革すべきだと思いますか
 新聞社の専売店政策は、人口や世帯数が増えて社会が右肩上がりの時代には非常に良いシステムだったと思う。専売だから(販売店が)無理もやってもらえるとか、人手も集まっていた。しかし、結局は読売の務台さんの作ったビジネスモデルから皆抜け出せないということ。果たして専売制というのは今後10年、20年先に維持していけるのだろうか。日本の人口動態を考えてみるといずれにせよ統廃合をせざるを得ない。地域販売センター化をして都内でいえば、大手以外の新聞社で完全合配とはいかないにしても共同配達に取り組む必要がある。
 例えば販売店従業員の福利厚生を考えても地域販売センター化すれば少なくとも労働力問題=意味不明?労働力が減るという意味か、必要労働力のことか=は5分の1になる。しかもシフト勤務も出来るわけだから、休刊日も無くせるということだ。
――再販制度や特殊指定については
 僕は再販も特殊指定も維持されて欲しいし、国家が口出しをするべきではないと考えているが、現状では販売の現場で様々な問題が出ている。カラクリ発証の問題は出る、販売店の不祥事の問題は出る、こちらが権利を主張すべき根拠が無くなってきている。だからそういう意味でもそろそろ販売体制は考え直しても良いのではないか。
――地域販売センター化実現には各社が取り組まないと難しい
 都内で考えれば朝日と読売は難しいだろうから、それ以外でひとつにまとまってやっていくしかないと思う。それは大変なことなのだが、キオスクのようなところは全紙取り扱っているわけで、方法はいくらでもあるような気がする。
――4月から大手2紙が都内販売店へ金券類使用廃止を通達したが、正常化は実現しますか
 不動読者がいる限り拡張行為はやらざるを得ない。現在の専売店システムでは避けられないことだ。新聞各社が平和協定を結べないのは、大手紙が悪いのではなく、それぞれの販売政策が違うから。哲学が違うからどこまでいっても平行線をたどる。つまり一時的には原資(大型拡材)が掛かるが、いずれ長期読者に転換させて元が取れるという政策もあれば、拡材に回す原資がないので禁止されている無代紙を使ってしまうという問題が起こるわけだ。
各社の販売哲学が変わらないとするならば、新聞社間の協定というのは「核の抑止力」と同じで、口では何を言っても無理だ。やはり取り決めというのは朝日と読売ともうひとつの「核」がないといけない。それはやはり連合体でしか対抗できないと思っている。(つづく)【労連副委員長・小関勝也】※新聞労連機関紙2007年6月号より
「しんぶん販売考」第5話
読者との「つながり」求めて
 ネットとメディアが融合といった新聞の未来予想図に各社の反応はさまざまだが、新たな収入源を模索するあまり、既存のビジネスモデルの可能性まで見失ってしまっては元も子もない。いま各社は読者をつなぎ止めるため販売店改革に乗り出そうとしている。東北の中でも部数の安定している山形新聞社の販売局販売部長の槇宝一さん(51)と販売部副部長の今野幹夫さん(51)に「強さ」の秘密を聞いた。

――「強い販売」というイメージがある山新ですが、販売現場の悩みは
 今野 やはり部数の伸び悩みが大きな問題です。読者の新聞離れもあるでしょうが、販売店従業員の質的な問題もあると感じています。部数が大幅に落ちることはないので「読者が減っている」という危機感が薄く、販売所長さんの意識を変えるのは難しい。
――直営の販売会社化を進めていると聞きましたが
 今野 いま販売会社が14店、専売の自営店が43店、複合店が31店あります。所長(販売局から出向)が変わると大分従業員の意識も変わりますね。販売店のレベルアップは今後必要です。多くの従業員に「山形新聞」という看板を背負っているという意識を拡げています。

▽「読者を増やそう」社内で境界線はない

――社員増紙運動について聞かせてください
 今野 グループ会社を含めて大々的にやっています。社長を本部長、労組委員長を副本部長として、一体感を持って「読者を増やそう」という気持ちで取り組んでいます。
  編集職場は増紙への意識が低かったのですが、名刺にキャンペーンのシールを貼ってもらったりしています。読者を増やすのに編集も販売も関係ない。新聞社の社員として読者を増やすのは当然だという意識がやっと根付いてきたところです。
――大都市への人口流出やインターネットの普及で部数に影響があるのでは
  山形はネットの普及が遅いのか、大都市のような急激な変化は起きていません。「山新ヨモーニャくらぶ」(現在3万8千世帯が登録)という会員制度を始めましたが、申込は9割がハガキによるものでネットからは1割もない。よき田舎というか、顔の見える販売・配達をして、地域の読者と対面する機会を増やしていくことが大切だと感じています。確かに業界の将来は不透明ですが、ローカル紙として地域特性に合わせて足元を固めようというスタンスです。地域の方々とじっくりやって行こうと思っています。

 無購読者の増加は読者が新聞から離れていったのではなく、「新聞が読者から離れていった」と言われる。読者との「つながり」は販売店だけに求められるものではない。新聞社に働く一人一人の「つながり」が、読者が新聞に何を求めているのかという答えを教えてくれるかもしれない。【労連副委員長・小関勝也】※新聞労連機関紙2007年5月号より
「しんぶん販売考」第4話
キーワードは地域密着
 これまで新規読者の獲得に莫大な販売経費をつぎ込んできた新聞業界。部数至上主義を推し進めてきた販売政策は読者との距離を広げてしまった。抜本的な政策転換が求められている中、販売店も現読者をつなぎとめるサービスの構築へと動き出している。

 「読者の囲い込み」を狙って新聞各社はウエブを使っての会員組織化が活発だが、業界内でもいち早く読者の会員化に取り組んだのが中国新聞社の「ちゅーピーくらぶ」だ。会員への均一なサービス提供に取り組む一方、会員と接する販売店の育成にも力を入れている。中でも、中国新聞福山深津北販売所の所長吾川茂喜さん(52)は、カルチャー教室など地域住民との交流に積極的に取り組んでいることで全国的にも知られている。吾川さんに話を聞いた。

――エリア内の販売状況は
 私の販売所での中国新聞のシェアは約4割強で全国紙との激戦区。拡張は年縛り(1年契約)が主流ですが、「6・8ルール」(購読料半年分の8%までの景品提供を認める)は大きく崩れているのが現状です。違法な「S紙」(エスがみ、1年契約で3カ月無料購読サービス等のこと)使用の拡張行為もあると聞きます。業界の自殺行為はやめようと店主会で話し合うのですが、なかなか難しい。
――独自の顧客サービスに取り組んでますね
 子供写生大会やフラワーアレンジメント教室など地元サークルとタイアップしたカルチャー教室をはじめ、古紙回収や地域密着したミニコミも独自に発行しています。特に喜ばれているのは、登録すると誕生日にお花を自宅へ配達・プレゼントするサービスで、品物の優劣ではなく、「気配り」が好評を博していると思います。

▽販売店は多目的なシステム構築が急務

――これからの販売店の可能性は
 いま販売店が持っているものといえば、新聞販売にしか活用できない顧客データベース、新聞だけにしか対応できない配達システムというのが現実です。多目的に応用できるシステム構築が急務です。また、読者との信頼関係維持には販売所長の教育、資格制度なども必要になってくるのではないでしょうか。
――新聞業界に未来はありますか
 まず販売正常化して読者の信頼を回復するのが先決です。自動車でもいろいろな車種を時代に合わせてモデルチェンジする。新聞は変わることに慎重すぎて、読者が欲する情報のニーズを察知できていないのでは。販売だけでは限界があります。時代を見極めて、多様な紙面を工夫すればまだまだいけると思います。

 これまで新聞販売の現場は、決まった時間に新聞を各家庭に届けさえすれば成り立ったと言われる。ところが、大幅な部数増が見込めなくなった現在、販売店の地域密着度が愛読者囲い込みの重要な戦力となってきた。新聞販売店で組織する日本新聞販売協会は「拡材から人材への転換」を訴えているが、新聞本社販売局は拡材、拡張員重視だった経費を販売店従業員の人材育成に本気で振り向けていけるかが、大きなカギとなりそうだ。【労連副委員長・小関勝也】※新聞労連機関紙2007年4月号より
「しんぶん販売考」第3話
「景品」規制緩和の功罪
 防災グッズに、多機能ラジオ、洗剤セット…。
 新聞の購読申し込みはがきには、通信販売のカタログさながらに、さまざまな景品の写真が並ぶ。こうした新規購読者向けプレゼントにいかに魅力ある商品をそろえるかが、今や販売局員たちにとって大切な仕事の一つとなっている。それにしても、景品なしには新聞は売れなくなってしまったのだろうか。

▽業界内で激しい綱引き
 新聞業界は1964年、自主規制ルールを定めた「新聞公正競争規約」をまとめ、30年以上にわたって景品による購読勧誘を自主的にも禁止してきた。しかし、拡張競争の激化で実質的にルールが守られていないことが、たびたび問題となった。
 94年、公取委が設置した「景品規制の見直し・明確化に関する研究会」が、新聞の景品規制について大幅な見直しをする必要があると提言した。これを受け、業界内では大きな議論が巻き起こる。「景品禁止のルールを守れないから規約を緩めるのか」と緩和に反発する地方紙。これに対し大手紙は「無購読者が増えている中で各社が守れるルールで魅力ある販促活動を実施することが急務」と主張し、両者で激しい綱引きが行われた。
 そして、98年9月、新聞業界は景品の使用禁止から使用制限へと規約改正する。「景品は公正な競争を阻害する」というこれまでの主張を大転換させた瞬間だった。現在、新聞定価の6カ月分の8%を上限にした景品提供が認められている。いわゆる「6・8ルール」だ。

▽長期購読者から不満の声
 禁止から容認へ――歴史的転換をしてから8年余。「プレゼント効果」はどうだろう。
 残念ながら販売現場の苦しさは変わっていない。景品を提供して読者を獲得しても、半年から1年の期限付きの契約にとどまり、更新時にまた同等の景品を持っていかないとサインしてもらえないのが現実だ。経費過多になるばかりか、無購読者対策にも結びついていないのだ。
 一方、同一紙を長年購読している読者からは「購読紙を替える人だけが景品をもらえるのはおかしい」と不満の声が上がっている。販売現場の矛盾ばかりが一層際立ってきた。
 そんな中、東京に本社をおく大手二紙がこのほど、今年4月からビール券など金券類の使用禁止を申し合わせ、各販売店に通告した。金券類は拡張員たちにとって最も中心的な”武器”だった。その禁止を申し合わせた意味は大きく、正常販売の実現に近づくものという見方もある。だが、多くの関係者は、新聞経営を圧迫するだけの景品を使った販売政策に「限界が見えた」ととらえている。結局のところ、景品は拡張戦争をエスカレートさせこそすれ、安定的に読者数を底上げしていく工夫と努力を怠らせたのではないだろうか。
いずれにしろ、販売競争に再び転換点が訪れようとしているのは確かだ。【労連副委員長・小関勝也】※新聞労連機関紙2007年3月号より
「しんぶん販売考」第2話
特殊指定(下)
論議は不毛 後味悪い決着
▽政治決着?
 「存続を求める新聞業界との議論に進展がなく、各政党からも存続するよう要請を受けたため、今回は結論を出すのを見合わせたい」。昨年6月、公正取引委員会は新聞特殊指定見直しの見送りを明らかにした。見直し方針発表から約7カ月。淡々としたコメントの中に“政治圧力”に屈した悔しさがのぞく。
 対照的な光景があった。同年10月、都内で行われたJC新聞部会の会合。自民党の特殊指定問題プロジェクトチーム座長だった高市早苗氏が講師として招かれ、公取委の動きに対抗して新聞の特殊指定を議員立法化しようとした経緯を説明し、こう言い放った。「もし公取委が変な動きを見せれば即座に(議員立法を)提出する」。
 見直し撤回を新聞業界は歓迎しながらも、政治と一体となった決着に後味の悪さを指摘する声は業界内でも少なくない。一つは「政治家に借りをつくってしまい、ペンが曲がらないか」との指摘だ。そしてもう一つ。宅配制度の必要性ばかりを強調した紙面展開をし、本質的な反論が十分にできたのか、ということだ。
 特殊指定とは@新聞発行本社や販売店が地域などによって違う価格設定、値引きなどを行うことA発行本社による販売店への押し紙−を禁止するもの。公取委の主張は明確だ。「そのルールが守られていないのではないのか、守られていない規則を維持するのは意味がない」。
 新聞労連は昨年3月と5月の2回、公取委に存続を求める要請を行った。その時、公取委の担当者は「新聞協会や日販協がいまの販売実態の説明を回避するので、議論が噛み合わない」と指摘した。新聞業界は活字文化の保護を主張するばかりで、販売の現状に言及しようとしないというのだ。

▽議論は尽くされたのか
 確かに読者アンケートでも新聞宅配制度の維持を希望する声は圧倒的だ。一方で、ネット上では新聞各社の大キャンペーン紙面に「権益維持のためなりふり構わない報道姿勢」などと揶揄するものも少なくなかった。
 新聞労連は@販売現場の混乱A販売業者と新聞社の生き残り競争B地方の混乱C乱売合戦で失われる読者の信用―の観点から特殊指定維持の姿勢を表明したが、あわせて読者から理解を得るためにルールを遵守する販売正常化の必要性を強く訴えている。
販売競争の果てに自ら公取委にすがった業界の部数第一主義の体質が改まったとは思えない。特殊指定が存在しているから何とか産業全体の秩序が維持され、多様な言論が担保されているという現実に、私たちは目を向け続けなければならない。【労連副委員長・小関勝也】※新聞労連機関紙2007年2月号より
「しんぶん販売考」第1話
特殊指定(上)
▽規制緩和の波の中で
 「2010年、公取委は必ず再販・特殊指定制度の見直しを打ち出してくる」。
 昨年12月、札幌で行われた新聞印刷共闘会議。講演した山田健太・専修大助教授はそう力説した。消費税引き上げの可能性なども指摘した上で、持論を続けた。「あと5年で新聞業界は大きな岐路に立つ」
 新自由主義の流れの中で、公取委が押し進める過当なまでの競争社会。新聞業界は、激しい規制緩和の波涛がうずまく中で、やっと顔をのぞかせている小岩のような存在だ。「同一題字・同一価格の堅持」「多様な言論を守る」。孤塁を守れるか否かは「販売正常化実現がカギ」と新聞労連は主張してきた。
 しかし、昨年6月、公取委が見直しを撤回すると、業界は「危機」を夢のように忘れ去ってしまったように思える。見たくない問題からは目を逸らす、そんないつもの習性なのか。
 新聞業界が「目をそらしたい問題」は販売分野に多い。今シリーズでは、間もなく岐路に立つ新聞業界のために、あえて販売問題に目をこらしたい。

▽特殊指定は新聞を含め3分野のみ
 独禁法では事業者が「不公正な取引方法」で売買することを禁じているが、公取委が具体的に不公正な取引内容を定めている。それには、すべての事業分野で適用される「一般指定」、特定の事業分野だけに適用される「特殊指定」があって、新聞をはじめ物流と大規模小売業の3分野が特殊指定になっている。
 1999年見直しされた現在の新聞特殊指定では、次の行為を禁止している。@新聞発行本社が地域又は相手方により多様な定価・価格設定を行う(学校教育教材用や大量一括購読者向けなどの合理的な理由がある場合は例外)A販売店が地域又は相手方により値引き行為を行うB新聞発行本社による販売店への押し紙行為―の3つだ。

▽激しい販売競争がきっかけ
 そもそも公取委が新聞業を独禁法の適用除外としたのは、「多様な言論を守るため」というわけではなかった。新聞の特殊指定は、半世紀も前にさかのぼらなければいけない。
 1955年は、新聞販売史上に残る激戦の年だった。新聞販売店は戦中の統制により共配の規制を受け続けていたが、52年にその規制が解除され専売制が復活すると、一気に激しい販売競争が繰り広げられるようになった。年々激しさを増す競争の中、大手新聞社の販売攻勢に喘ぐ地方紙は新聞を特殊指定商品にして乱売に歯止めをかけようと動き出すが、これに対して大手紙は「自由競争を抑圧するもの」と退ける。しかし、半値以下の定価設定や2億円のクジをつけて売り込む大手紙の販売行為に対し独禁法違反の問題が浮上。これを受けて新聞協会も法的措置も止むを得ないと決議。55年12月、公取委は、新聞業を「特殊指定」し、これによって値引きや景品類、無代紙の提供は一切禁止された。
 自主的な規制、自助努力で解決できなかったため公取委に「すがる」格好になった新聞業界。その体質は変わっただろうか。
二度の「正常化宣言」など自主的な改善策を示してきたが、その後も新聞社は公取委からたびたび警告を受けている。そして、公取委は2005年11月、特殊指定の見直しを宣言する。【労連副委員長・小関勝也】※新聞労連機関紙2007年1月号より
新聞労連街頭調査結果
「新聞特指定・販売正常化」街頭調査
2006年6月・新聞労連本部
 公正取引委員会が新聞の特殊指定見直し方針を示した2005年11月以降、様々な議論がなされました。06年2月に入ると新聞各紙は問題に対する読者の理解を得るため、業界の動きや制度維持を訴える特集紙面を掲載しました。しかしテレビなどのメディアは、この問題をほとんど報道していません。こうした中で自民党の独占禁止法調査会は、現在の特殊指定を独占禁止法に盛り込む改正案を国会に提出する方向に動き出しました。これに対し公取委は6月2日、新聞特殊指定についての結論を見送る方針を示しました。

 新聞労連は5月、全国の各地連から協力を得て「新聞特殊指定・販売正常化」街頭調査を実施しました。「特殊指定」「再販制度」などを一般の人がどのくらい知っているかが主な調査目的です。そして調査の最後では、新聞に対する意見を述べてもらいました。
 この結果、新聞を購読している人は調査人数558人の8割を超えています。これに対して「特殊指定」「再販制度」「公取委による特殊指定の見直し」について知っている人はそれぞれ3割に届いていません。「特殊指定」という言葉はなじみが薄く、今回の調査ではまだまだ知られていないことと、問題の内容を伝える難しさがあらためて浮き彫りとなりました。
 そして新聞に対する意見は「紙面内容」より「セールス」に関するものが圧倒的に多いことがわかります。「新聞の選択は紙面内容で」を理想としていますが、多くの読者は強引なセールスや違法な拡張に強い不満をもっています。新聞に対する不満の筆頭は、依然として販売現場の問題を挙げなければなりません。
 調査人数は全体で558人となり地区別で関東地区102人、東京地区50人、北信越地区115人、中国地区79人、四国地区126人、九州地区86人となりました。

 この調査結果について外部での使用は基本的に自由です。また、記述などで誤りなどがありましたら新聞労連本部へご一報をお願いします。
【1】現在、自宅で新聞を月決めで購読していますか?
はい いいえ 合計
470 88 558
84 .2% 15 .8%
(関東地連) 96 6 102
(東京地連) 39 11 50
(北信越地連) 94 21 115
(中国地連) 68 11 79
(四国地連) 109 17 126
(九州地連) 64 22 86
【2】新聞の購読料割引などを禁じた「特殊指定」をご存知ですか?
はい いいえ 合計
131 427 558
23 .5% 76 .5%
(関東地連) 29 73 102
(東京地連) 5 45 50
(北信越地連) 20 95 115
(中国地連) 26 53 79
(四国地連) 43 83 126
(九州地連) 8 78 86
【3】新聞の定価販売を認めた再販(再販売価格維持)制度をご存知ですか?
はい いいえ 合計
140 418 558
25 .1% 74 .9%
(関東地連) 35 67 102
(東京地連) 7 43 50
(北信越地連) 22 93 115
(中国地連) 25 54 79
(四国地連) 35 91 126
(九州地連) 16 70 86
【4】現在、公正取引委員会(公取委)が新聞特殊指定の見直しを進めていることをご存知ですか?
はい いいえ 合計
147 411 558
26 .3% 73 .7%
(関東地連) 40 62 102
(東京地連) 6 44 50
(北信越地連) 20 95 115
(中国地連) 28 51 79
(四国地連) 40 86 126
(九州地連) 13 73 86
【5】新聞に対する意見(紙面、セールスなど)をお聞かせください。
 ※回答はこちらへリンク
【特殊指定改廃問題に対する新聞労連の取り組み】
第115回中央委員会(2006/04/20-21)
〔これまでの経緯〕
 約10年に及んだ著作物再販問題に対して公正取引委員会が「当面存置」の結論を出したのが2001年3月だった。4年半が経過した昨年11月、公取委は新聞業を含む特殊指定の見直し方針を表明した。特殊指定は独占禁止法の例外措置(著作物再販制度)と一体となり、新聞の「同一題号同一価格」を保証するもので、公取委はその一方の切り崩しを目標としている。
 著作物再販制度は、定価を守らない販売業者に対して新聞社側には契約違反を根拠に「取引契約の解除」を認めている。これに対して特殊指定は販売業者へ差別価格を直接禁じている。新聞の同一価格はこの2つの制度で維持されてきた。
 公取委の方針に対して、新聞協会はじめ業界団体は一斉に見直し反対を表明。2006年に入って「特殊指定廃止は新聞の戸別配達制度崩壊を招く」と読者へ制度維持に理解を求める特集記事を各社が紙面展開した。公取委は新聞協会と話し合いの場を持ち議論を繰り返してきたが、新聞以外では食品缶詰・瓶詰(2月1日)、海運(4月13日)について特殊指定を廃止してきた。公取委は次に教科書の特殊指定廃止を視野に検討を続けている。
〔購読料の弾力運用〕
 現在の新聞業特殊指定は1964年に告示されたもので公取委は1999年、この特殊指定に「学校教材用と大量一括購入」については例外・・・・とする一文を付け加えた。当時の公取委は「長期購読割引」など購読料の弾力運用を強く求めていたが、新聞業界側がこの要望には消極的だったため、学校教材・大量一括購入はその折中案といえる。
 今回の特殊指定見直しに対する公取委の姿勢は「規制緩和」を正面に掲げていた当時と変わっていない。多様な料金体系を設定する携帯電話などを例に取り上げ「新聞も同じように価格設定があるべき」の考えはそのままである。
〔特殊指定が廃止された場合〕
販売現場の混乱
 特殊指定が廃止となれば、販売業者側が購読料を守る根拠は著作物再販制度だけとなる。この場合、定価を守らない販売業者に対して新聞社側は契約違反を根拠に「取引契約の解除」とすることができる。しかし実際には取引を止めて、すぐに別の販売業者を発足させることは困難で、新聞社側が取引停止するまではかなりの時間がかかる。
 購読料値下げを複数の販売業者で同時多発的に行えば、該当地域に別の販売業者を発足させることはまずできない。よって新聞社側が定価維持を販売業者側に求めても、事実上は販売業者の裁量となる可能性が極めて高い。全国紙は「朝夕刊セット」と「統合版」とで異なる購読料を定めているが、3大紙は同じ価格。特定のエリアで一つの販売業者が値下げをしてセールスを進めれば、ほかの題号の販売業者も同調した値下げを余儀なくされる。
 現在は販売区域を正確に区分したテリトリー制で販売業者ごとにエリアが重複しないように定められている。テリトリー制は販売業者と新聞社との間で営業区域を厳密に取り決めたものだが、新聞社側が決めた購読料の維持が困難となった販売業者は次に販売区域の拡大に向かう。エリアが広くなればそれだけ販売部数を増加が可能となり、こうなれば同じ題号を扱う販売業者同士の競争となる。
販売業者と新聞社の生き残り競争
 値下げ競争によって販売業者は値下げ額に比例した減収となり、立ち行かなくなった販売業者は廃業となる。これまで都市部では「専売店」として題号ごとに販売業者が分けられていた。廃業となった販売店が増えれば、新聞社側はその区域を別の新聞販売店へ配達を委託する。こうなると存続した販売店は「専売」から複数の新聞を扱う「合売」へ移行し、さらに隣接する販売店との値下げ競争が続く。
 このように販売業者が値下げ競争で淘汰されるが、ここに至るまでの期間には一時的に配達の空白区域が出てくる。新聞社側がこの混乱の中でこれまで通りの戸別配達を販売業者側に求めるのは困難となる。
地方の混乱
 地方では全国紙の値下げ攻勢が予想される。これまでのセールスは景品提供と無代紙(契約月数に比例したサービス購読)が主な手段だった。これに購読料の値下げが加わると、資本力が大きい全国紙の部数拡大は容易となる。持久戦に持ち込まれた場合、地方紙が次々と倒れるのは時間の問題となる。
 山間部や離島では販売業者が値上げを求め、値上げでも採算が取れない地域は配達を断る場合も予想される。こうなると配達手段は郵送か宅配業者。読者は購読料に加えて輸送費の負担も余儀なくされ、郵送の場合は1日遅れとなる。
 また地方で予想される「全国紙の部数拡大」のほかに、採算が見込めない特定の地域からは全国紙の撤退が考えられる。地域によって購読できる新聞が限定され、多様な新聞が読める環境はここからも崩れる。
乱売合戦で失われる読者の信用
 販売業者が前記のような大混乱に陥ると、新聞社も当然のことながら存亡がかかり、実際に倒産する新聞社も現れる。消費者団体にしてみれば「安いに越したことはない」と思われるが、果たしてその通りか。戸別配達される地域が住宅密集地など配達効率の良い地域に限られ、読める新聞が限定されれば本当に困るのは読者。また多くの新聞が生き残りを懸けて値下げ競争に陥り、これまで通りの紙面を維持が困難となる。
 特殊指定廃止で最終的に「戸別配達」は崩壊することが予想されるが、その前に「乱売合戦」が起こる。この乱売合戦で新聞が読者の信頼を失う。新聞が危機的状況と言われているのに、購読料をめぐる混乱が加われば新聞そのものがマスメディアから脱落するのは必至。言論機関としての新聞が立ち行かなくなり、危機にさらされるのは「知る権利」「表現の自由」。さらに「民主主義」。最終的に困るのは国民である。
〔ルールを順守した販売正常化〕
 新聞協会は「特殊指定廃止→戸別配達制度の崩壊」と訴えているが、その前に起きる「乱売合戦」が重要な問題となる。特殊指定が販売業者へ差別定価を直接禁じているため、この規制が外れて最初に起きるのが値下げ競争である。
 現在でも販売現場で横行している強引なセールスで読者の反発を買っている上に、乱売が加わると新聞の信頼回復は絶望的だ。乱売合戦が販売現場に混乱を招く引き金となることを認識しなければならない。
 「強引なセールス」「規制を超えた景品」は新聞社の部数第一主義が根本にある。この考えからの脱却が販売正常化の第一歩となることは昔から言われてきた。また新聞社と販売業者の「偏務契約」の是正を進め、同時に販売業者はルール順守による読者の信頼回復が求められる。
〔新聞労連の姿勢〕
 新聞協会は「特殊指定廃止→戸別配達の崩壊」と訴えている。戸別配達は読者にとって身近な問題だが、実際には「特殊指定廃止→乱売合戦→販売現場の混乱→販売業者・新聞社の生き残り→戸別配達の崩壊→知る権利、表現の自由の危機→民主主義の崩壊」と戸別配達崩壊の先に大きな危機が待ち構えている。
 新聞労連はこれまでの部数第一主義を改め販売正常化の早期実現を業界内に訴える必要がある。戸別配達維持という目標は新聞協会と同じでも、実際に立ちはだかる問題を避けることはできない。
 1998年の再販問題で新聞労連は「地方議会への意見書採択」を各地で求めた。そして2001年には業界を挙げた反対運動に新聞労連も加わった経緯がある。著作物という広い範囲の再販廃止にはMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)に運動が結集した。このとき公取委は「著作物再販廃止」を目標に、最終的には独占禁止法の改正を視野に入れていた。
 今回問題となっている特殊指定は業界ごとの「不公正な取引方法」を定めた告示。業界の個別事情を考慮したもので、指定そのものは公取委の専権事項となっている。新聞業の特殊指定は当然のことながら新聞に限定した内容となっており、制度維持を政治力に頼る姿勢が世論の支持を得られるかは疑問である。
 この問題は内容が複雑で、読者・市民の理解を得にくい側面がある。しかし新聞労連内の組合員の問題に対する意識が低いことが、労組にとって最大課題といえる。2001年の著作物再販問題でもこの点は指摘されていた。組合員への問題意識の周知を図ることが第一である。
〔取り組み〕
特殊指定維持中央集会(仮称)5月23(火)−24日(水)・東京
初日・全体集会、2日目・公取委、新聞協会などへの要請
特殊指定についてディスカッションを中心に開催し現状認識を深める
特殊指定問題のリーフレットの配布
配布対象は組合員とするが一般にも配れるスタイルで制作中。5月8日(月)から発送開始予定。
組合員対象の署名
特殊指定問題の周知を目的に実施し、5月24日に公取委へ提出予定
日販協(日本新聞販売協会)では戸別配達スタッフなど関係者を対象に実施中
【販売正常化を求める闘い】(2004年度運動方針案から)
(1) 新聞販売について理解を深めよう。
(2) 無代紙の追放、発行本社の連座制を確立させよう。
(3) 販売店労働者の権利拡大を進めよう。

新聞販売について理解を深めよう
 新聞の発行部数は97年をピークに減少に歯止めがかからず、各社とも有効な手だてのないまま部数第一主義の姿勢に変化は見られません。新聞という「商品」に対して、読者が「必需品」から「読みたい人が読む」ものへと意識を変化させています。これまでのような販売方法で果たしていいのでしょうか。強引な販売方針は、景品の高額化、無代紙の横行など過当販売競争の激化を招き、結局、読者の新聞への信頼をおとしめることになります。販売正常化を掛け声だけにせず、正面から取り組むことが大切になってきています。
 そのためには、販売の問題が組合員全体に共有されなければなりません。販売正常化の課題を、販売職場だけの問題に矮小化せず、組合全体で考えていけるような環境づくりを進めましょう。まず販売の実態について理解を深めることから始めましょう。編集・制作など普段あまり交流がない場合が多いため、販売の正常化といってもピンとこない人が圧倒的ではないでしょうか。本社と販売店との関係、販売店の活動、販売拡張、販売労働者の実態などについて学習会や交流などで理解を深めていきましょう。

無代紙の追放、発行本社の連座制確立を
 公正競争規約を「改正」し、景品提供を解禁してから6年になろうとしています。当時、景品解禁の最大の「大義」となったのが、「無購読層への新聞の普及の手段」というものでした。しかし、この間の販売部数の推移は、そうした「大義」が何の根拠もなかったことを証明しています。逆に高額景品提供の手法が温存され、無代紙提供の横行など、不正常販売の根絶などほど遠いのが実情です。また、定期購読者に対する高額景品の提供の事例も増えており、このままでは景品を付けなければ新聞は買わないという消費者の「習慣」を定着させてしまうことになってしまいます。これがどれほど新聞販売の常道からはずれたことであるかを、冷静に見つめ直す必要があります。新聞に関係する業界団体は、ことあるごとに「販売正常化」を口にしてきましたが、その実現性ははなはだ疑わしい限りです。販売正常化を進めるには、無代紙の追放、発行本社の連座制の確立が必要です。読者や販売店・日販協との対話・連携を強めながら、新聞協会や新聞公正取引協議委員会(中央協)に対して販売正常化を粘り強く訴えて、監視の輪を広げていきましょう。
 著作物再販制度のなし崩し的な見直しが公正取引委員会主導で進められていますが、その存続に向けた取り組みを再構築する必要があります。再販制度が言論・報道の自由を経済的な観点から保障させている制度であるという原点に立ち返って、読者・市民への理解を得る取り組みを強化していかなければなりません。同時に「運用の弾力化」について、販売職場の仲間を中心にその許容度について理論的に確立する必要があります。販売正常化の実現なしに再販制度の維持はあり得ませんが、同時にたとえ販売正常化が実現しても、再販制度が守られるわけではありません。地連・単組でも再販を守る独自の取り組みを模索していきましょう。

販売店労働者の権利拡大を
 一昨年から始まったなし崩し的な休刊日発行は、今年も休刊日が全国紙を中心に年間10日になるなど、事実上固定化されてしまいました。休刊日発行については、日販協など販売店を中心に反対の声が上げられていましたが、労連として全体的な議論になっていないというのが実状です。
なし崩し的な休刊日発行は、配達できる地域とできない地域とを二分化させ、戸別配達制度の崩壊と過当販売競争の激化につながりかねない問題です。同時に、休刊日を減らすことは新聞販売店の労働条件の低下につながるという点で、見過ごすことのできない問題です。
 もともと休刊日年12回の実現は、販売店などが中心となり労働条件向上のたたかいとして勝ち取ったものでした。これを「読者ニーズに応えるため」というだけで、何らほかに手当をすることなく奪い去ってしまうのはいかがなものでしょうか。とりわけ、新聞販売店労働者の多くは不規則な労働時間と低賃金など劣悪な労働条件の下で未権利の状態におかれています。新聞産業はこうした労働者の下支えの上に成り立っています。休刊日に対する考え方は組合員の中でも多様ですが、たんに販売正常化を阻害する要因としてだけでなく、販売店労働者の権利拡大という視点からも取り組んでいく必要があります。まず、各単組で議論しながら、休刊日のあり方についても模索していきましょう。

新聞の魅力・力のアピールを
 新聞を読んでいない人たち、とりわけ若年層に新聞が読まれるようにするための方策を労使の枠を超えて考えることが重要になっています。インターネットなどでは体験できない新聞を読む楽しさ、新聞が文化・芸術・スポーツの普及や社会で果たしている積極的な役割など「新聞の力」についての理解を深めてもらうよう、会社や新聞協会などとは違った取り組みが求められているのではないでしょうか。
【再販制度・特殊指定を守る闘い】(2000年度定期大会議案書から)
 1998年3月31日、公正取引委員会は著作物再販制度に関する最終報告書を発表した。著作物再販制度に対し「競争政策の観点からは廃止の方向で検討すべきもの」だが、「文化の復興・普及と関係する面もあり、廃止した場合の影響について配慮と検討を行う必要がある」と、初めて著作物が国民の文化形成に深く関わっていることを認め、「即時廃止」は、当面見送るが、指摘されている新聞業界の弊害改善・是正がどうなるかをみながら、再販制度の存廃は2001年3月までに結論を出すと公正取引委員会は言明した。
 だが、その後も公取委は再販撤廃のための下準備を着々と進め、98年5月には、これまで原則全面禁止だった景品を3ヵ月の購読料の8%を上限に認め、さらに同年9月から懸賞も大手紙が押し切る形でスタートし、事後承認の形で99年1月、「新聞ルール」が作られた。景品類提供の上限ルールの見直しを検討している新聞公取協委員会は6月の会議で「6ヵ月の8%」で合意した。7月中に公聴会を開催し、9月から施行の運びとなるとみられる。
 一方で、新聞が一般商品とは異なる公益性の高い特別な商品であると主張し、他方で新聞が一般商品と変わらぬ景品と懸賞を認めてしまった。このような矛盾が通用するはずはなく、再販制度維持で理解を示した文化人らを離反させる結果となった。

 再販制度の骨抜きを狙った公取委は98年12月、萬を持して新聞業界の特殊指定の廃止を打ち出した。公取委の本音は、「景品や懸賞をすでに容認している新聞に定価販売を強制する特殊指定はいらない」とする考えであり、99年1月中旬にも決着する動きを強めていた。これに対して新聞労連は、特殊指定の存続運動を99春闘の中心に全力で闘った。こうした運動の結果、特殊指定の廃止問題は部分的な修文に止まり、制度そのものは当面存続されることになった。

 公取委は01年をにらんで新聞業界の弱点である流通の弊害是正を掲げ、各個攻撃の戦術を取り続けている。撤廃勢力は最終報告でも述べているとおり、「制度の弾力的運用」に名を借りて01年春に予定されている再販見直しを待たずに、なし崩し的に崩壊させることを狙っている。特殊指定の修文がアリの一穴となり、発行各社が勝手な拡大解釈をすれば再販撤廃に直結することになる。

 新聞業界の課題は、読者・市民から指弾を受けている不正常な販売を根絶させ、販売正常化を実現させることである。さらに、読者・市民・消費者団体から再販・特殊指定制度のいっそうの理解を得るには、発行本社の業務内容やコストを明らかにする経営の情報公開を進めることも大切である。また、販売苦情相談窓口や不正常な販売を監視していく第三者機関の設置など、きめ細かな対応も必要だ。再販見直しまで半年余りとなった。労連・地連・単組一体となり、販売正常化を推進させるとともにMICとも共闘して再販制度の存続を勝ち取っていかなければならない。
【再販制度の維持を求める闘い】
 公正取引委員会は1995年7月、著作物再販制度に関する「中間報告」を発表した。その内容は「著作物再販制は時代に合わなくなった」などとして、実質的に再販制度の撤廃を示唆したものとなっていた。政府行政改革委員会は、95年7月に「論点公開」を公表し、その中で初めて著作物再販制度を取り上げた。公取委は中間報告発表後、業界とのヒヤリングや地方での公開シンポジウムを行い、97年2月に規制緩和小委員会を再開し、著作物再販制度の存続か廃止かの詰めの論議を始め、行革委の96年の報告では「結論に向けた論議を進める」として97年中に決着をつける構えを見せた。

 この再販問題が俎上にのぼって以来、新聞労連は出版労連や音楽ユニオンなどMIC(日本マスコミ文化情報労組会議)の仲間と、再販制度撤廃阻止の運動に取り組んできた。労連はこの運動を、単に新聞の利益擁護のためだけではなく、再販制度廃止によって民主主義の土台である言論の多様性や表現の自由が損なわれてしまうという憲法的視点として位置づけ、組合員への教宣活動と市民・読者に理解を広める活動を重点に進めてきた。MICと共同して全国の街頭で宣伝ビラ・リーフレットの配布をはじめ、「よくわかる再販問題」パンフレットを作成し、組合員に1万部普及した。読売労組では、このパンフを組合員だけではなく、街頭で市民に配布し理解を呼びかけるなど積極的な活動を展開した。

 98年3月に公正取引委員会が著作物再販売制度に関する最終報告書で、再販制度の「即時廃止」は、当面見送るが、指摘されている新聞業界の弊害改善・是正がどうなるかをみながら、2001年3月までに結論を出すと明言した。これに対して新聞労連は、10万人署名活動やシンポジウムなど開き、市民・読者に理解を広める活動を重点に進めてきた。
 01年3月、公取委は新聞の再販制度について「当面、存置」とした。しかし3年が経過した今日も、公取委が再販制度廃止を主張する根拠となった過当販売競争は「6・8ルール」をつくったものの守られていない状態が続いている。再販制度を維持するためには販売の正常化は、より一層重要な課題になっている。